RPO

「ターゲット人材がなかなか獲得できない 」「採用チャネルが多くてどれか一番有効か分からない 」このような悩みを抱えている採用担当者も多いのではないでしょうか?

RPO(採用代行)はそんな悩みを解決する有効な手段の一つです。

採用される側にとっても、採用先の企業が始めから終わりまですべての業務に当たるよりも、担当が分散されていたほうが応募時の敷居が低く感じるというメリットがあります。

本記事では最近注目のRPOについての概要を説明したうえで、メリットや注意すべきポイント、実際の活用事例、RPOサービスを選ぶ際のポイントなどについて解説しています。

RPO(採用代行)とは

RPO

RPOとはRecruitment Process Outsourcingの略語で、日本語では「採用代行」という意味です。その名のとおり、採用活動に関するさまざまな業務を、実際に従業員を雇用する企業に代わって行うサービスのことを指します。

RPOが効果的であるのは、単に作業の代行に留まらず採用全体を見直すことができるためです。採用広報 を自社のブランドに合うよう改善することで、自社の価値観を明確に示せます。例えば多様性を大切にしているなら、「持病がある方や子育て中の方も自分の予定に合わせて柔軟に働けます」という一文を募集要項に加えるなどです。仮に応募者が不採用になっても、独自の価値観を持ったよい会社であるという印象を持ってもらえます。

結果的に離職率が低下し、ビジネス全体の効率化とコスト削減につながります。

RPOが注目されている背景

RPO

RPOが注目されている背景として 、人事・採用担当の業務量の増加や人材不足による人材獲得競争の激化が挙げられます。

昨今はコンプライアンス遵守の徹底、働き方改革への順応、コロナ禍の対応など、人事部門の業務負荷は増加傾向です。さらに、少子高齢化も背景に就職市場は売り手市場となっており、優秀な人材の獲得を急務とする企業も多くあります。2030年までに世界で8,520万人の人材不足が予想されており、8.5兆米ドルの損失を生むことになってしまいます(コーン・フェリー )。

そのような中、効率的かつ質の高い人材を獲得できるRPOに注目が集まっているのです。RPOの活用により採用時間を35%削減、コストを30%削減できるという調査があります(コーン・フェリー )。採用を効率化することは、ビジネスの成功に直結するというわけです。

RPOで委託できる具体的な業務

RPO

RPOではさまざまな採用支援が可能です。実践的な業務のほか、採用プロセスの見直しのような自社へのカウンセリング業務も委託できます。委託できる具体的な業務を見ていきましょう。

採用計画・戦略策定

RPOは採用計画・戦略策定の代行が可能です。自社へのヒアリングやコンサルティングの結果を取り入れながら、どのように採用 段階を踏むかを策定していきます。

具体的には必要な人材の定義の設定、採用プロセスの再設計、採用市場調査、採用ブランディングの企画立案などです。

母集団形成

母集団形成とは、自社に興味や関心を持つ人を増やしたり集めたりすることです。自社に注目してもらえるような広告を企画・運用したり、企業説明会やインターンシップなどを企画・運営したり、採用ホームページやSNSの情報を更新したりします。

応募者の対応・管理

応募してきた人たちへの直接的な対応や情報管理なども委託可能です。応募の受付はもちろん、書類管理や選考結果の通知なども請け負ってもらえます。

場合によっては書類選考に関する業務を委託することも可能です。個人情報の漏えいが気になる場合は、情報の取り扱いが適切な委託企業を選ぶようにするとよいでしょう。

面接対応

採用で最も重要といっても過言ではない、面接対応も委託可能です。 とはいえ、「面接は自社で行いたい」といった場合も多いため、RPOが担うのは事務的な業務が多くなります。具体的には、面接の日程調整や面接の受付・案内、選考結果の通知などが中心です。

一次面接はRPO、最終面接は自社が担当といったように、選考のフェーズに応じて役割を分担することも検討してみましょう。

内定対応

RPOの業務は、採用活動の終盤である内定対応も含まれます。例えば、内定者との各種やり取りや内定書類の送付、内定者向けのイベント企画・運営などです。

内定辞退者が出た場合、内定辞退者に対するヒアリングや個別面談をする場合もあります。次回の採用活動に活かすことができ、会社の仕組み全体を見直す機会にもなります。

RPOのメリット

RPO

RPOを利用する代表的なメリットについて、具体的に見ていきましょう。

コストの削減が期待できる

RPOは外部に頼るためコストの負担がかかりそうですが、実はコストの削減にも期待できます。

人材不足を今いる社員だけで補おうとすると、業務量が増えて残業代が膨らむだけでなく、社員のストレスが溜まり離職につながりかねません。

応募者の管理や採用活動には人件費がかかります。採用してから6~12か月以内に辞めた管理職を交代させるのにかかる費用は、年収の2.3倍にもなるという調査結果があります(コーン・フェリー )。

コーン・フェリー ではコストの削減効果含め、RPOを利用するメリットをより詳しく説明しています。

参考

Beyond recruitment cost control: 6 benefits of RPO

効率的な採用活動ができる

採用活動は多大な労力がかかりますが、RPOを利用すると作業の効率化を図れます。採用を担当する従業員は、通常はほかの業務を担当していることも少なくありません。そのため、採用関係の問い合わせや突発業務が発生した際に、負荷が大きくかかってしまいます。

RPOを供給している企業は採用の専門家ですので、経験豊富で突発的な採用ニーズにも速やかに対応可能です。

業務の質を向上させられる

RPOを利用することで人事部門の業務負荷が減れば、減った分ほかの業務の質を向上させることができます。採用成功の事例のひとつに、応募者の管理や対応などの採用のノンコア業務をRPOに依頼し、面接のようなコア業務に徹するようにしたというものがあります。業務の効率化により、質も向上できるのです。

また、RPOを提供する企業はプロですので、採用市場のトレンドを把握し、適切な広告戦略を持ち、情報管理も徹底しています。自社のニーズをくみ取りながら採用プロセスから見直し、自社に合った人材を見抜きます。

採用活動を成功させるために言われるようになってきたことは、多様性を大切にすることです。多様性を重視するようになってから会社の成長率と収益が向上したというデータもあります。無意識のうちに求人広告の表現が特定の候補者グループに偏っていないかなど、RPOで見直してみるとよいでしょう。

応募者数が増える

RPOを導入すると、応募者が応募しやすくなるのもメリットです。 RPOによる業務分担で、応募者からのちょっとした疑問にもすぐ対応ができれば、応募者は安心して次の採用プロセスに進むことができます。体制が整った会社であると実感でき、会社への信頼にもつながります。

また、履歴書の受付から面接、採用結果の通知まですべてを同じ担当者がしているよりも、業務分担されていたほうが応募者の精神的負担が軽くなります。確かに採用活動において緊張感は必要です。しかし、応募者の中には「ちょっと興味があるから、とりあえずどんな会社か見てみよう」という気持ちで応募する人もいます。そのような人材を逃さないためにも、応募プロセスを踏みやすい環境を作ることは大切です。

RPOの注意すべきポイント

RPOを導入する際には注意した方が良い点もあります。RPO委託企業と綿密なやり取りをすることで防げるでしょう。

RPOをベンダーではなくパートナーとして活用する

RPOを頼りすぎて採用業務を任せたままにしていると、採用のミスマッチが起こりかねません。

当然ながら採用した人材は自社で今後働くことになります。「自分たちで雇用する」という意識を忘れずに、RPO委託企業との連携を深めましょう。

委託企業によっては割高になってしまう

RPOはコスト削減効果がありますが、効率的に活用できなければ割高になってしまうかもしれません。自社に合った企業を選べないと、採用が上手くいかず、無駄な工数が発生したり逆にコストがかかってしまう場合があります。

サービス内容を明確にした見積もりをしてくれる企業を選びましょう。RPOの業務内容や契約方法が自社のルールに合っているか、事前にきちんと確認しておくことも大切です。

RPOにかかる費用

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RPOを提供する企業や委託する業務量によってRPOにかかる費用は異なります。 支払い方法は「月額一律料金型」が多く、企業によっては別途で初期費用が必要です。ほかにも業務量に応じた「従量課金型」、成果が出たあとに料金が発生する「成功報酬型」があります。

委託する業務量や頻度が大きいほど、発生する費用も大きくなります。DMやスカウト配信業務も、一斉配信かひとりひとりに配信するのかで費用が変わります。 また、同じ企業への委託でも、スタッフが常勤か非常勤かやスタッフの熟練度に応じて変動する可能性もあります。面接官代行などがそうです。

費用については、あらかじめ予算を提示したり見積もりを複数の企業からとっておくと良いでしょう。

RPOの活用に向いている企業

RPO

メリットも多いRPOですが、特にRPOの活用に向いている企業の特徴について見ていきます。

募集する職種が多い

募集する職種が多い企業では、人事担当者がよほど社内業務の詳細に精通していない限り、あらゆる職種に対応することは困難です。

特に専門的な職種の場合、それぞれに応じた知識やノウハウが必要となり、優秀な人材の見極めは簡単ではありません。

RPOを活用すれば、各分野において知見がある企業が、自社の要望に応じた人員を採用してくれます。人事担当者が苦労して専門職の知識を得たり、新たな採用人員を雇う必要もなく、募集職種ごとの最適な採用活動を行えます。

採用活動のためのマンパワーが足りてない

採用活動のマンパワー(人手)が足りていない企業も、RPOを活用することで効率的に人材を確保できます。

採用活動は採用計画の策定から始まり、イベントの企画・運営、面接、内定まで幅広いです。そのため、自社でする場合かなりの労力がかかります。

人員が足りなければ、他部署から人を集めたり採用担当者 を新たに雇ったりする方法もありますが、手間やコストがかかることに変わりはありません。RPOを活用すれば専門的な知識を持った人材が揃っているので、効率的に採用活動のマンパワーを補うことができるでしょう。

自社の採用活動で効果が得られてない

今まで採用活動をしてきたものの、「入社してもすぐに辞められてしまう」「採用後思ったように成長してくれない」などの悩みを抱える企業は、自社のやり方に何らかの課題があるのかもしれません。

課題を解決しようとしても上手くいかない場合、RPOを活用することで、別角度から採用活動が行える可能性があります。今まで気が付かなかった視点や考えを取り入れることで、採用活動の課題改善につながるでしょう。

RPOサービスを選ぶ際のポイント

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RPOが依頼できる企業はさまざまです。自社に似た形態の企業へのRPO実績が多いところや、時代に合わせて新しいものを取り入れているところが、選ぶポイントです。

委託したい業務内容と合っているか

RPOの業者によっては、委託できる業務内容が限られていることもあります。どの範囲を委託したいのかを明確にしてから、RPO委託企業を探しましょう。

チェックポイントは、自社の業界分野でRPOの実績があるかどうかです。業界分野の知識がなくては適した人材を見抜くことができません。RPOの実績において、得意な会社規模や採用人数も自社に合っているか確認しておきましょう。

多様性と公平性を重視しているか

新しい切り口で採用活動の提案をしてくれる企業かどうかも、大切な点です。多様性と公平性を重視することで会社の成長率が70%、収益が36%向上するというデータがあります(コーン・フェリー )。採用活動でも、多様性と公平性が会社を変えるきっかけになり得ます。

一定の人にかたよりがちな募集をしていないか、募集方法について相談できる委託企業を選びましょう。独自で採用セミナーを行っている企業なら、その内容もチェックポイントです。

マンパワーと採用テクノロジー のバランスはとれているか

採用活動の効率化のため、採用テクノロジーが充実しているかどうかも重要ポイントです。新しい技術を取り入れている会社は、印象がよくなります。

一方で応募者ひとりひとりのニーズに合った対応には、マンパワー(人的資源)が不可欠です。採用結果に関わらず、応募者が自身や自社に対してポジティブな発見ができるような採用活動を目指すと、自社に対する悪い評判を抑えることができます。また、不採用の応募者ともそこで関係が終わるとはかぎらず、仕事で関わることもあるかもしれません。将来的に長いスパンで見ても、応募者のことを大切にできる会社は魅力的です。

マンパワーとHRテクノロジー のそれぞれのよさを活かせるRPO委託企業を選びましょう。

情報管理が行われているか

採用活動では、個人情報に触れることが多いです。情報が漏れることがないよう、セキュリティ管理体制が整っているところを選びます。

RPO委託企業のホームページで、個人情報保護方針やプライバシーマークを確認しましょう。

RPOの活用事例

RPOを活用して、どのような成果を得られたのでしょうか? 実際にコーン・フェリーのPROを日本で活用した事例を紹介します。

事例1. 通信業界・A社の事例

  • ダイバーシティ採用に注力
    • 2025年までに女性の労働力25%への向上を目標としたさまざまな取り組みを実施
    • コミュニティサイトや採用サイトにおける女性技術者や学生向けコンテンツの開発
    • 障がい者雇用のための選考プロセス、ガイドライン、面接官用マニュアルの作成
  • 実績
    • 採用責任者と候補者の満足度は、それぞれ81%、88%と高水準を維持(KPI達成)
    • 内定書の受諾までの期間:平均63日

事例2. IT業界・B社の事例

  • 採用マーケティングの実施
    • SNSキャンペーンの運用管理
    • 採用におけるビデオ・ブログコンテンツ・体験談の資料作成
    • 採用募集のプロモーションおよびキャンペーンに必要な専用ページの作成
    • 候補者が募集要項を入手して応募する際の体験を向上
  • 実績
    • 技術職、非技術職ともに候補者満足度は高水準
    • 内定書の受諾までの期間:平均43日

RPOにおける推進ステップ

RPO

RPOを依頼するうえでの推進ステップを、それぞれ見ていきましょう。

STEP1 事前準備

まずは依頼前の段階です。今の自社の採用にはどのような課題があり、どういった傾向や考えに基づき採用をしているのかをまとめておきます。

現状や課題をまとめ終えたら、採用活動のどの部分をRPOに依頼すべきかをある程度固めておきます。そして、RPOの委託企業をいくつか選定します。企業ごとに提案プランは多種多様ですので、費用、委託内容、過去の実績など、複数社を比較・検討することが大切です。

STEP2 ヒアリング

RPO委託企業から、詳しくヒアリングが行われます。自社のニーズと課題を洗い出したうえで、戦略を練ります。

STEP3 提案

RPO委託企業から、採用方針や方法について提案を受けます。場合によっては、 HRテクノロジーを取り入れた採用活動の提案もあります。RPOにかかる料金が提示されたら、何にどのくらいかかるのか内容をきちんと把握しておきましょう。

STEP4 契約と実践

RPOを委託する企業が決まれば、業務委託基本契約などの必要な契約を取り交わします。自社の法務部門や、必要に応じて弁護士などと契約内容をよく精査しましょう。

契約が終わり、具体的に業務委託内容が固まれば、いよいよ実際にRPOとして業務を委託します。人員の確保や業務内容の明確化など、業務委託がスムーズに行われるよう準備します。

STEP5 振り返りと今後に向けて

四半期ごとにデータを活用して 振り返りを行います。

自社の課題は解決できたか、コミュニケーションは問題なかったか、採用プロセスは自社の希望に沿ったものだったかなど、さまざまな角度で検証します。

また、今回のRPOを振り返るとともに、今後の採用についても、RPOを続けるのか、自社で採用するのかといった判断が必要です。RPO活用前後の社内状況や採用者の動向を、しっかりと注視しましょう。

RPOの導入を成功に導くためのポイント

RPO

最後に、RPOの導入を成功に導くためのポイントについて見ていきます。

委託したい業務範囲を明確にする

基本的にRPOを利用する際は、採用業務の全部ではなく一部を委託することとなります。特に採用方針や現場のニーズを吸い上げるコア業務は、自社の人事部門が率先して担当した方が良いでしょう。

委託業務の範囲が決まったら、自社で行う部分はだれがどこまで担当するのか決めておきます。

定期的に情報共有を行う

RPOを依頼中は、委託企業と定期的な情報共有が大切です。特に委託して自社が関わっていない部分のことは、こまめに状況を聞いておきましょう。

RPOをしているとはいえ、実際に採用するのは自社であり、今後その人が一緒に働く仲間となるかもしれません。

あくまでも代行をお願いしているだけであり、主体は自社にあるという自覚をしっかり持つことが重要です。

まとめ

RPOは人事部門の負担を軽減できるとともに、自社の採用課題を解決する有効な手段です。

コーン・フェリーのPROサービス では、ご依頼をいただいたお客様それぞれのニーズに耳を傾けて、採用の総合的な解決に尽力しています。50を超える業界と関わってきた経験をもとに 、あらゆる職種に応じた採用ノウハウを提供いたします。HRテクノロジー を活用したデータドリブンな採用活動も強みです。

自社の採用に課題があり、解決方法を検討している人事担当者の方は、お気軽にご相談ください。