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Skip to main content開示対象については、全取締役を対象としているケースから、社外取締役あるいは社内取締役のみに限定しているケース、監査役や執行役員を含めて対象とするケース、など、企業ごとにバラつきがみられる。
スキル項目については、経営戦略とスキルが連動しているケースから、一般的な機能の列挙にとどまっているケースなど、企業ごとに取り組みのスタンスに差が見られる。また、国籍やジェンダーなどをスキル項目に含める企業も一部存在する。
各取締役等におけるスキル保有の有無については、スキル保有の判断基準が不明確であるケースが散見される。今後、客観性の高いプロセスを通じた説明責任の向上がマーケットから求められる。
①(取締役の人材要件の定義):経営戦略に照らして取締役会に必要「スキル(知識・経験・能力等)」を特定すること
②(取締役のスキル・ギャップの可視化):取締役会メンバーの現有スキルの充足度を確認し、多様性の観点も含めて取締役会の構成上の課題を特定すること
③(取締役の選任・解任・サクセッション):取締役に「必要なスキル」に対する持続的な獲得上の課題を特定し、不足する「スキル」の獲得に向けた人材施策を実行すること
④(「監督」と「執行」のバランス確保):「経営の両輪」としての「監督(取締役会)」と「執行(経営陣)」とのバランスの実現とその持続性を確保
スキル・マトリックスは、形式的に開示するだけではその効果は不十分であり、本質的に意味のある形で活用するかどうかによって取締役会の実効性が大きく変わるといっても過言ではない。本稿が、各企業におけるコーポレートガバナンス関係者の検討の参考になれば幸いである。