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Skip to main contentAIの可能性を引き出す、リーダーの6つの責任
生成AIは、これまでの技術革新の中でも最も急速に発展し、最も大きな影響を与えている分野の一つです。その登場以来、生成AIを脅威と捉える人もいれば、その価値を疑問視する人もいますが、多くの人々がもろ手をあげて歓迎していると言えます。そのため、AI導入状況が企業ごとに大きく異なっているのは当然でしょう。
AIはすでに私たちの生活に深く浸透しており、働き方や考え方を変革しています。企業は未来の働き方を再考する必要があり、これまで以上に高まっているのがリーダーシップの重要性です。
AIの進化に伴い、組織や個人が成功するかどうかはリーダーの手腕にかかるようになっています。チームが新しい働き方を受け入れ、成功の定義を再構築し、不確実性を乗り越えるための支援が求められているからです。コーン・フェリーでは、リーダーを「未開の価値」と「組織的な成果」をつなぐ架け橋と捉え、人間の知性と人工知能を融合させて可能性を最大限に引き出す存在と位置づけています。
本ペーパーでは、AI時代において先頭に立つリーダー、つまりAI対応型リーダーのあり方、行動、そして組織を未来へ導く方法を探ります。
AI対応型リーダーを定義する
世界中のリーダーや組織が、AIの可能性、導入方法、そして現実世界での活用方法について模索しています。
一部は導入を始めたばかりであり、他は試行錯誤を重ね、走りながら学んでいます。しかし、多くの組織が競争力を維持するために必要なスピードや変革力が不足していると感じています。コーン・フェリーの調査によると、CHROの42%がAIへの投資を優先事項としていますが、そのうちAIを受け入れる準備が整っていると答えたのはわずか5%でした。
AI導入を成功させるには、2つの課題に取り組む必要があります。1つ目は、AIは技術者だけでなくすべてのリーダーの責任であるという認識を持つこと。2つ目は、「準備が整っている」とは何を意味するのかを明確にすることです。リーダーは、安全なAIの試行を促すだけでなく、業務プロセスやシステム、仕事そのものを再構築し、新たな成長機会を創出し、非効率を最小限に抑える必要があります。AIを人間の価値を損なったり、置き換えたりしようとするのではなく、人間の潜在能力を高めるコレボレーター(協力者)として活用することが目標です。
この規模の変革は、何を優先すべきか、そしてどのように前進すべきかを理解しているリーダーから始まります。コーン・フェリーは、重要なAIジャーニーを成功に導くために、リーダーが果たすべき6つの主要な責任を特定しました。
1. ビジョンを軸にチームを導く
AI対応型リーダーは、AIをどのように活用して成功を導くかという説得力のあるビジョンを軸に、チームをしっかりと結束させます。変化の激しいAIの進化の中でも、常に方向性を示し、困難に直面しても焦点を失いません。現在の取り組みが成果を出さなくても、AIの進化が将来の成功を切り開くと信じ、粘り強く取り組み続けます。
2. 決断力を持って行動する
AI対応型リーダーは、無謀にならない程度に意図的かつ迅速に行動します。スピードが求められるAI主導環境において、チームの方向性を明確にし、共通の目標達成に向けて導きます。完璧さ、前進、一時停止、中止といった判断のバランスを取りながら物事を進めます。
3. インパクトを拡大する
AI対応型リーダーは、最大のインパクトと意味のある成果を生む取り組みを優先します。断片的な実験的取り組みから脱却し、最も価値を生むAIの活用に集中します。不確実性や抵抗に直面しても、結果にフォーカスし続けます。
4. 成功に満足しない
AI対応型リーダーは、価値の追求において現状に満足することはありません。今日うまくいっていることも、すぐに時代遅れになる可能性があると肝に銘じています。実験を通じて学び、継続的な試行錯誤、創造性、人間とAIの新たな協働のあり方を育む文化を築きます。
5. 学びとアンラーニングを推進する
AI対応型リーダーは、迅速な学習とアンラーニング(過去の成功体験の棄却)のマインドセットを促進し、成功を後押しします。AIに関する理解と好奇心を育て、チームがこれまでの習慣を見直し、業務フローやプロセスを再設計し、将来の役割に向けてスキルを常にアップデートできるよう支援します。
6. 不安に向き合う
AI対応型リーダーは、特にAIが雇用やキャリアに与える影響に関する不安に正面から向き合います。誠実かつ真摯に対応し、信頼される存在として積極的に関与します。AI対応型リーダーは目に見える形でリーダーシップを発揮し、安心感を与えながら変化を導きます。
これら6つの責任は、コーン・フェリーのサクセス・プロファイルに「AI-Ready Leader」(AI対応型リーダー)としてに組み込まれています。その基になるサクセス・プロファイルは、「Change Ready Leader(変革対応型リーダー)」や「DigitalLeader(デジタル・リーダー)」ソリューションです。これらは研究調査を通じて開発され、豊富な実践によって裏付けられています。
このサクセス・プロファイルは以下の5つのレベルで構成されます:
1. シニア・エグゼクティブ
2. 事業部門長
3. マネジャーのマネジャー
4. プロフェッショナル・スタッフのマネジャー
5. シニア・プロフェッショナル(一般社員)
このサクセス・プロファイルと心理測定に基づく自己診断アセスメントを組み合わせることで、AI関連の課題に対応するためのリーダーシップの育成とギャップの解消が可能になります。
人間+AI:パートナーシップの力
今日のリーダーに求められているのは、変化する環境で成果を出すことだけではありません。AIに備えるためには、まったく新しいプレイヤーとルールによって構成される「新しいゲーム」に向けて、組織そのものを変革する必要があります。それは、賢くリスクを取り、今日失敗したことが明日成功する可能性を理解し、最良のアイデアでさえも成果を出す前に陳腐化する可能性があることを認識することを意味します。
何よりも、AI主導の世界でのリーダーシップとは「人を導くこと」です。曖昧さの中でチームを導き、明確さが乏しい状況でも方向性を示し、仕事に不安を感じる社員を支えることが求められます。変革を推進するのは人間であり、リーダーは人間が持つ独自の価値を受け入れながら、AIの真の力は効率性ではなく「人との協働」にあることを示す必要があります。優れたリーダーは、変化の中でもチームの意欲を維持し、前進を促し、意味のある成果を生み出します。
だからこそ、コーン・フェリーは「人間+AI時代」に向けて、ワークフォースの再構築を進めています。この時代では、スキル、組織構造、システムが急速に進化し、AIの価値は「適切な人材が、適切な役割で、適切な能力を持っている」場合にのみ最大化されます。
AI時代の成功は、人間のパフォーマンスを何が駆動するかを理解することにかかっています。そして、コーン・フェリーは誰よりも人間のパフォーマンスを最も深く理解していると自負しています。私たちは、人材科学、統合されたテクノロジープラットフォーム、そして数十年にわたる洞察を組み合わせ、明確な目的のもとに活動しています――それは、あらゆる人間の潜在能力を引き出すことです。
今こそ恐れや不確実性を乗り越え、私たちを人間たらしめる力を活かす時です。もはや、限界はありません。